設定資料:メカ

亜細亜連邦軍  亜細亜連邦 民間  啓示軍  その他


亜細亜連邦軍

機兵
龍王 (ロンワン) 龍王 (ロンワン)  SMITSの開発した、亜細亜連邦軍初の実戦用機兵
 もともと実験機であったが、テストの名のもとに外廓聯に配備・実戦投入された。
 中枢処理装置に極秘の技術が使われているらしく、不穏な噂が絶えない。
 さまざまなテストのために若干仕様の異なる複数機が存在し、現在では肆(四)番機までが完成。うち壱、弐、参番機が外廓聯の各部隊に配備されている。
 動力源は電池。カートリッジ式の燃料電池と、内蔵型の蓄電池が併用されており、この併用方式は亜細亜連邦軍の機兵のスタンダードとなっている。
 図版は壱番機で、所属は白龍隊である。
 右手に持っているのは二二式機兵用発熱刀「炎草薙」。変則現象で熱エネルギーを発するコアを刀の形に成形したもので、適宜刺激を与えて刀身を赤熱させる。刀身が溶解してしまうため長時間の使用はできず、また、再使用のための処理は非常に手間が掛かる。基本的に使い捨てである。
龍王肆番機 (ロンワンしばんき) 龍王肆番機 (ロンワンしばんき)  龍王の四つ目の機体で、肩に大型スラスターを追加し、局部的に装甲や構造を強化してある。
 肆番機は壱~参番機と異なり外廓聯には配備されておらず、SMITSがテストを続けているため、その姿を見たものは少ない。
 頭部モジュールが一機ごとに新規設計されるのが龍王の特徴だが、この機体では特に隈取のような紅い模様が頭部に確認できる。これは頭部に搭載されている制御・演算系の機密ユニットと関連があるものと思われ、実際、肆番機の稼動状態がピークに達したときにはこの模様の発光が確認されている。ただし、その真の意味はSMITSとその背後の元老院によって伏せられている。
 龍王には宇宙用の伍番機が存在するとの情報もあり、肩の追加スラスターは宇宙用推進システムのデータ収集も兼ねているという観測もある。
龍王陸番機 (ロンワンろくばんき) 龍王陸番機 (ロンワンろくばんき)  第六の龍王として、富士工場で密かにロールアウトした機体。
 肆番機と同様、部隊配備はされていない。
 頭部に電子戦装備を備えている点と、背中の電子戦用パワーユニットと頭部とを繋ぐ髪の毛のようなケーブルが特徴。
 他の龍王とは別の意味での秘密を有していたが、江藤によって暴かれた。
 テストパイロットはSMITS出向の軍人、五百蔵惟織。
龍 (ロン) 龍 (ロン)  龍王壱番機で得られたデータをもとに、量産モデルとして開発された機体。
 亜細亜連邦軍の機兵部隊はほぼこの龍とその派生機のみで編成されている。
 龍王に使用していた中枢処理装置がSMITSの部外秘であったために使用不可能で、その代替品として、アメリカに先駆けて実用化したEPU(エクスペクトプロセッサ)が採用されている。EPUによる代用で反応速度は龍王より低下したが、副次的な効果として、龍は同型機とのリアルタイム情報共有機能を獲得。小隊を組むことでその戦場把握性能は圧倒的に向上する。
 そのほか、MMアクチュエータの量産技術の問題から指が三本に減らされ、炎草薙の使用が不可能になっていること、宇宙用装備への換装を期した設計になっていることが大きな差異である。
 単純な戦闘能力では龍王に若干劣るが、生産性、整備性、拡張性などが龍王より向上しているため、戦略的には圧倒的に有効な戦力である。
 図版で装備しているのは二二式機兵用電磁槍「雷紫電」乙型。主に対機兵用の武装で、関節部など装甲の薄い部分に突き刺して、内部に高圧電流を流す。
龍・防人型 (ロン・サキモリガタ) 龍・防人型 (ロン・サキモリガタ)  龍を地上戦用に特化した機種。
 駆動系の出力および強度の向上、ラジエータの大型化が主要な設計変更点で、このため胸部が標準型に比べ大型化されている。さらにスレイプニルロケットエンジンサーキュレータとカートリッジを装備することで推力を大幅に増大。これにより増加した重量を差し引いても通常型を上回る瞬発力と持久力を獲得している。また、走行や跳躍といった基本運動においても通常型に差をつけているが、MMアクチュエータへの負荷が大きく、耐用期間が短くなってしまっている。
 宇宙用の装備をすべてオミットし、基本構造自体に手を入れているため、この型は宇宙用装備に換装できない。そのため、黒龍隊などの宇宙に派遣される可能性のない部隊にだけ、限定的に配備されている。
 右腕に装着しているのは二二式機兵用擲弾発射機丙型「火砲(ホヅツ)」、左腕のものはレーザーホーミング方式の四連ミサイルコンテナ。
龍・江藤カスタム (ロン・エトウカスタム) 龍・江藤カスタム (ロン・エトウカスタム)  江藤の乗る、龍の改造機。開発部からの新装備類のテスト要請によって、改造のお墨付きを得ている。
 肩の重機関砲は固定火器の実用性を検証するために装備されたもので、独立した補助FCSを搭載し、セミオートで攻撃が可能。戦場での弾倉交換には対応していないが、弾薬自体は装甲車の重機関砲からそのまま流用しているので、融通が利く。
 重機関砲が最大の外見上の特徴であるが、この龍はもとが初期型仕様であるため、黒龍隊の他の龍とは他にも細部に若干の形状差異が見られる。ただし、外廓聯時代の修理時に漸次そのときの最新バージョンとモジュールごと交換されているため、この姿は初期型とも異なっている。
 内部にも手が加えられ、一部は規格から外れてしまっているので、この機体の整備は慣れた者でないと難しい。OSも江藤によって手が加えられており、他の者には扱いづらい機体となっている。
 なお、江藤の体格にあわせて、腹部のコクピット周辺を複座型の資材で拡張してある。
龍・複座型 龍・複座型  従来の龍を全面改修した複座型。
 龍の複座化は外廓聯編成当時から進められていたが、数機を改修して運用した結果、龍自体の完成度が高まるまで複座型の量産化は延期されることになった。やがて龍および龍王弐番機以降の蓄積したデータから龍の全面改修案がまとまってきたため、その改修試作壱番機を複座型として組み上げ、そのまま新単座型に先行するかたちで複座型の量産化が決定された。
 コクピットはタンデム複座で、前部席が操縦手用。後部席は多目的仕様でさまざまな機器を設置できるが、後部席のみで龍を操縦することはできない。指揮官が最前線で指揮を執る場合や、特殊な装備を運用する際に専門技術に長けたサポート要員が乗り組む場合、訓練目的で教官が後部席を使う場合などがある。
 なお、二〇二三年一月に暖炉の谷に投入された機体は複座型の弐番機。当時生産ラインの準備中であった量産型と同じ仕様になっている。
雷麒麟 (ライキリン) 雷麒麟 (ライキリン)  龍王や龍とは別のスタッフにより開発されていたが、二〇二二年十一月に開発陣が解散となり、姿の知られていなかった幻の機兵。実は長野翔太らが暖炉の谷付近の施設に秘匿していた。
 多種の機兵のファミリー化を目指した麒麟計画において、手始めの強攻型として設計されたものだが、同仕様の別の機体や、異なる仕様の試作機が存在するのかは不明。
 装甲防御と、増加した重量を補って余りある推力、そして強力な火器を使用するための高圧蓄電ユニットが長所。左手は龍のものを流用しているが、右手は龍王と同規格であり、発熱刀「炎草薙」を使用できる。
 変則現象を応用した推進装置「エアインパルサー」を太腿側面に装備しているが、このモジュールの基本構成はモスクワ戦以降の影龍の装備と酷似している。
ドラコーン22 ドラコーン22  綴りはДРАКОН。
 北熊のミヤス・マトゥモトフ少将がマポス軍事工業に開発を依頼した機体。機兵の動きを人に近づけることを目的とした技術実証機として、公式に戦略軍の認可を得ている。
 機兵の目である指向性複合センサーは、龍では近接用の左右二基と望遠・精密照準用の一基とを併設する形式だったが、ドラコーンではこれが大きく異なる。正面に単眼のように据えられた大型のメイン一基と、上方、後方、左右監視用の小型のサブが四基という構成になっている。
 この機体は二〇二二年十一月に所期の機能をすべて実装。カネジュ・イルベチェフ大尉が一週間のテストを行ったのち、後発機に取り掛かるためのさらなるデータ取得のため、改装が着手された。
 ダーダネルス作戦中の翌年一月半ば、マトゥモトフ少将の発案により急遽実戦テストが決定され、暖炉の谷に運ばれた。
機兵支援・周辺装備
火縄 甲型 火縄 甲型  二二式機兵用百五粍ライフル砲甲型。  龍王及び龍用に開発された携帯ライフル砲で、真新しい技術は殆ど使われておらず、先行量産品は早くも二〇二二年八月の龍王・龍の試作機実戦投入の時点から使われている。
 弾倉は柄の部分に装填され、装弾数は十発。連発より狙撃を重視しているため砲身が長いが、変則領域内での防護装置が施されていない初期型ではしばしば砲身内部で暴発した。
 弾薬は旧来の軽戦車用百五粍ライフル砲と併用。
鬼火 (オニビ) 鬼火 (オニビ)  二二式機兵用擲弾発射機甲型。
 一~六キロメートルほどの距離での使用を想定したロケットランチャーで、標準装弾数は十六発。制圧攻撃や、奇襲の一次攻撃に撹乱用として用いるもので、回避運動中の機兵に対してはあまり有効でない。
 また、機兵の運動性を著しく損ねるので接近戦では用いない。
二二式機兵搬送車 甲型「大八車」  亜細亜連邦軍が機兵の輸送用に開発した大型トラック。龍あるいは龍王を一機、準解体状態で搭載できる。
 開発中だった次世代大型ロケットランチャーシステムから車体を流用しており、技術的には中ロの系譜を継ぐ。
 外廓聯編成までに急造され、初期の機兵運用を支えたが、現在は乙型の配備に伴って生産数が削減されている。
二二式機兵搬送車 乙型「ヤドカリ」  急造の甲型に改良を加え、荷台を整備台として使えるようにしたもの。整備台は普段折り畳まれており、機兵の整備や出し入れの際には壁や天井を展開する。簡易クレーンなども備わっており、搭載時に取り外した機兵の腕などをセミオートで接続できる。
 荷台部分が異様に膨らんでおり、そのため日本人からは「ヤドカリ」の愛称で呼ばれることが多い。
一八式情報化装甲車「ジソコン」  地上用レーダーセンサーや光通信装置、そして変則領域内での機能を保証するためのBFGを備えた、戦術指揮用の装甲車。EPUの前身とも言うべき高性能コンピュータも搭載されている。
 この車輛の実用化によって、戦場の情報化におけるNATO諸国との格差が一気に縮んだため、自走コンピュータという俗名が広まり、特に日本人はこれを略して「ジソコン」と呼称する。
 黒龍隊に配備されたのはこれに開発中の機兵戦術管制システムを組み込んだもので、仕様が異なる。
乗俑機
三節腕 三節腕  フェイジアインダストリーズ乗俑機
 軍民両用で篁シリーズより堅牢な設計だが、そのぶんサイズと重量がかさみ、コストパフォーマンスも今一歩。
 節の三つある四本の腕を具え、「ミツフシ」の愛称がある。この腕は円筒状の肩の側面を回転し、コンピュータ支援によって四本の腕で同時作業をこなすこともできる。一時的に使わない腕はカウンターウェイトとしても利用される。先端のユニットは三本指ハンドやバケット、ドリル、バイス (万力)などさまざまなものに交換可能。取替えは工事現場でも容易に行え、三節腕が自分の手を自分で交換することもできる。機兵用のMMアクチュエータを一部に使用してあるため、マニピュレータの出力は機兵なみ。
工兵機  フェイジアインダストリーズ開発の軍用乗俑機乙種。
 二〇一九年より一部の工兵部隊に配備開始。いっぽうで、乗俑機の戦闘兵器化に関する研究にも用いられた。
 第三次大戦では当初の用途のみならず、機兵部隊の兵站支援で活躍。
 黒龍隊の雪上模擬戦で審判を担当したのもこの機種で、猿之門基地には六機が配備されている。
タヂカラ  亜細亜連邦の軍・警察用乗俑機甲種。開発・製造はフェイジアインダストリーズ。
 宇宙服を装甲化したような外見で、防御重視。身体運動に対するパワーアシストはあるが、高速動作は苦手で、全力疾走などはできない。
 生物化学兵器への耐性あり。
 軍・警察・RATでそれぞれ仕様と配色が異なる。
 なお、警察においては最高級の戦闘装備であるが、対物ライフルなどの重火器をサポートするソフトウェアが組み込まれていないなど、攻撃力に制限が加えられている。
DV3307  秦和精機製乗俑機乙種。
 キャノピーのない乗俑機乙種ではしばしばライト等を顔に見立ててデザインされるが、このシリーズはそれに該当しない。
 外装は装甲と呼べる程度の防弾性能を持つ。ただし、乗り降りは機体正面から行い、その際一体成型の正面装甲が大きく跳ね上げられてしまう脆弱性がある。
 同ファミリーで民需仕様もあるが、型番が異なる。
その他
Su-42  亜細亜連邦軍の制空戦闘機。
 連邦軍編成後にロシアと日本が共同開発したもので、米軍のF-22やF-35と張り合うことはせず、調達費の低減が重視された設計。そのためステルス性能は低いが、Su-37譲りの高い運動性を誇る。
 亜連はバロッグ発生が多いため、この機体は当時実用化したばかりの相対バルムンク反応センサーを標準装備している。ただしBFG自体は積んでいないため、変則領域内での安全な運用はできない。
チャクラム  亜細亜連邦軍およびRATで使用されている軽量偵察車輛。
 動力源が燃料電池であるため静謐性に優れる一方、馬力に弱点も抱えている。


亜細亜連邦民間

乗俑機
篁二式 (たかむらにしき)  ハイヴィレッジコンツェルンの関連企業で開発された、民用の小型の乙種乗俑機。操縦性と整備性が良好で人気の高い機体。同時期の他メーカーの乗俑機より相対的に安価であったこともあって、亜連でのベストセラー乗俑機となった。
 生産数が多く操縦も簡単なため、エデンなどが武装化して用いることも多い。
労働一号 労働一号  アデタバ・ヨシダが個人的に製作したハンドメイド乗俑機。
 大雑把に言うと、旧式戦車の車体に重機や乗俑機の部品を取り付けたもの。
 アデタバは漢字を書くのが苦手なので、機体側面の「安全第一」の文字は人に頼んで書いてもらった。


啓示軍(オフェンバーレナ)

機兵
ノイエトーター ノイエトーター(2号機)  欧州事変でその圧倒的な力を世界に知らしめた「人形」。啓示軍の象徴といっても過言ではない最強の機兵である。
 三機程度しか存在が確認されておらず、しかも一機ごとの形状に差異があることから、啓示軍もこの機体を自力建造したわけではないと推測されている。ただし、出所については全く不明である。
 足に搭載されたマスディレクタと、一種のバルムンクフィールドによる空力制御を用いて、ロケットやジェット燃料に頼らない飛行が可能。  主武装はビームランサーと呼ばれるバルムンク兵器で、電離砲熱粒子砲を兼ねるうえに、刃状にフィールドを固定することもできる。
 さらに手首には殴打用装備のナックルガード、大腿部には機関砲を装備する。
 装甲および主構造は特殊素材ニーベルンギウムによって作られており、高い防御力と微小な再生能力を持つ。
   なお、右図は「X2(イクスツヴァイ)」のコードを持つ二号機。
エントゼルトゾルダート エントゼルトゾルダート逆関節二脚型 エントゼルトゾルダート逆関節四脚型  啓示軍の量産型機兵。ゾルダートと略称されることも多い。
 亜細亜連邦軍に「人形」の名で知られるノイエトーターほどの戦闘能力はないが、啓示軍の現在の版図はこの機体の活躍の賜物である。また、ノイエトーターを「白銀の人形」と呼び、この機体を単に「人形」と呼ぶこともある。
 機体構造のユニット化が高度に進んでおり、腕や脚といった単位でユニットを交換し、多彩な特性の機体に組み替えることができる。  この特性は一方で、破損してもすぐにユニット交換で戦線復帰させられるという強みも持つ。機体特性が変わってしまうのはOS構築において不利となるが、それを補えるのは啓示軍が機兵を最初に量産化した組織ゆえである。
 初期モデルの標準的モジュール構成(図左)では人型だが、四脚型(図右)も多く戦場で目撃されている。四脚型はその高い静的安定性能から大型火器の搭載が可能で、高機動の火砲として運用されるケースが多い。
 各モジュールはRW重工により日々改良が加えられており、完全に同じ姿のエントゼルトゾルダートは少ない。図に示す姿はあくまで一例に過ぎない。特に脚部は、二脚、四脚の区別の他に、膝関節が順方向と逆方向の二種が存在する。
 戦略的な運用を重視するコンセプトのために「単機あたりでの性能」を犠牲にしているため、一対一の接近戦では亜細亜連邦軍の龍に苦戦することが多い。また、交換モジュールのストックが底をつくと途端に汎用性が低下するという弱点もあるが、啓示軍は輸送機フリューゲイル及びグルーテイルによる驚異的な輸送能力でそれをカバーしている。
シフゾルダート シフゾルダート  エントゼルトゾルダートの海上仕様。
 下半身を戦闘艇ゼーシュテルンと一体化することで、海上での運用を可能としている。
 船首部分は用途に応じて換装でき、アンカー射出機、機関砲、アスロック、第二コクピットなどのオプションがある。
 はじめ北海周辺の防衛部隊にのみ配備されていたが、トライアムファント級空母の就役により、外洋でも活動するようになった。
エントゼルトゾルダート改「シュヴァルツパンター」 エントゼルトゾルダート改「シュヴァルツパンター」  エントゼルトゾルダートの順関節二脚タイプをベースに、カスタマイズが施された機体。
 ゾルダートシリーズの次世代スタンダードモデル、トロイパペゾルダートのロールアウトと同時期に改造が施されており、最新の部材も流用されているため、 基本性能は通常のエントゼルトゾルダートより若干高い。また、例外的にトロイパペゾルダート専用の飛行モジュールへの換装も可能である。
 右図はこの機体のパイロット、ケーシャ・スラント中尉がもっとも多用したモジュール構成で、右腕を熱粒子砲、左腕外部にオプションの機関砲、背部に大型RBRセンサー、左肩に二連ミサイルランチャーを装備している。
 なおシュヴァルツパンターとは、スラント中尉のふたつ名にちなんだものである。
エントゼルトゾルダート改“ドライバイニヒ” ドライバイニヒ  エントゼルトゾルダートの改造型の一種。火力と運動性の最適トレードオフを狙った特異な三脚型の下半身が特徴。
 トロイパペゾルダートへの転換過渡期に開発されており、内部構成はシュヴァルツパンターよりさらに進歩している。コクピットには初めて射出座席が採用されている。
 後発のトロイパペゾルダートの試作機が二脚でありながら火力、運動性ともに申し分なかったため、コストのかかるドライバイニヒが本格生産されることはなかったが、複数機が亜連のダーダネルス作戦に対する救援機として実戦参加し、 このうち四機が紫龍隊と交戦している。
 エンリコ・フェルバルディ大尉の使用機体のみ、彼のファッションにちなみ、首周りが黄色に塗装されている。
エントゼルトゾルダート改「ブルートバート」 エントゼルトゾルダート改「ブルートバート」  エントゼルトゾルダートの複座・順関節二脚タイプをベースに、カスタマイズが施された機体。
 接近戦を重視したため頭の防御を強化してあり、外装のレイアウトに通常型との差異が認められる。
 また、複座型の広いコクピットスペースを改造して、パイロットのオズボーン・ワイルダー大尉の巨躯でも 操縦できるようになっており、事実上、彼以外には操縦できない。胸部の改造はコクピット周りのみにとどまらず、 背部に見える大型のロケットエンジンもこの機体特有のモジュールであり、 これが重装備の機体に高い加速性を付与している。ただし、一般機のように背嚢を背負う能力は改造によって失われている。
 武装に関しては、右腕を特製の大型ドリル「シュラークボーラー」とするのが常となっており、これがこのブルートバートの代名詞ともいえる。 右図で装備している左腕外部のオプションの機関砲、左肩の二連ミサイルランチャーは、状況次第で交換される。 また、右肩に装備しているのは武装ではなくセンサー。
 なお、ブルートバートとはドイツ語で「大量虐殺」を意味する。
エントゼルトゾルダート改「ブルートザオガー」 エントゼルトゾルダート改「ブルートザオガー」  E12のオズマンド・ワイルダー中尉専用にカスタマイズされた機体。 逆関節単座型がベースで、接近戦を重視した装備が施されている (一部は固定化)。
 目に相当するメインセンサーと背面の推進系統が主な改造点で、ともに改造当時の新技術をつぎ込んだ試作品が流用されている。右腕に装備するのが発熱刀剣「ヴェルメゼーベル」で、左腕は前腕以下全体が「電離砲」になっている。襟の位置に機関砲を備えるものの、威力は低く、運動性能を活かした接近戦が持ち味である。
 機体は血のような朱で染められており、「Blutsauger (吸血鬼)」のコードネームを持つ。
エントゼルトゾルダート改「ブルートフント」 エントゼルトゾルダート改「ブルートフント」  E12のオズワルド・ワイルダー少尉専用にカスタマイズされた機体。逆関節四脚単座型がベース。
 右腕として、変則領域内での近距離戦闘に重きを置いた試作品「フォイエルアルム」が採用されており、気化爆薬を使った高い近接攻撃力を発揮する。
 左腕は肘から先が「シュッツネーベル」発生用の装置となっており、あらゆる攻撃の威力を減殺する、盾として用いることができる。ただし、その稼動には大量のエネルギーが消費されるため、機体後部の積載スペースを専用のパワーパックが占有している。また、シュッツネーベル発生による通信不全を解決するため、頭部の通信系も換装されており、外観にも差異が認められる。
 背中に対空機関砲、自動装填装置つき多弾頭ミサイルランチャーなども装備し、遠近、対地対空を問わず攻撃が可能。
 ブルートバート、ブルートザオガーと同様に機体は血のような朱で染められており、「Bluthund (英国産の狩猟犬。あるいは「残忍な人間」)」のコードネームを持つ。
トーデスゲヴァルト トーデスゲヴァルト  啓示軍の新型機兵。ゾルダートシリーズとは系統の違う機体で、シルエットはむしろノイエトーターに近い。
 炎草薙の啓示軍版ともいうべき「ヴェルメゼーベル」と、変則領域による強固な防御壁「シュッツネーベル」を発生させるための盾形モジュールを装備。
 オズボーン・ワイルダー大尉が、中破したブルートバートから乗り換えた。
トロイパペゾルダート トロイパペゾルダート  エントゼルトゾルダートに替わる、新たなゾルダートシリーズの基本モデル。
 全面的に性能が向上しており、シルエットもややノイエトーターに近づいている。
 背面から上方向に伸びているのは、機兵でははじめての標準装備となるスレイプニルサーキュレータ。啓示軍が機兵開発技術において他勢力の一歩先を行っていることの証明である。
 エントゼルトゾルダートとの互換性もある程度残されているため、前線ではモジュールが混在する例も多い。
 なお、暖炉の谷でE6のリヒャルト・ブラームス中尉に与えられた機体は新型火器運用試験用の改修が施されており、外見に特に差異はないが、EM砲などの強力な兵装を使用することができる。
機兵支援・周辺装備
フリューゲイル  啓示軍の高速大型輸送機。この機体もノイエトーター同様どこからか未知の部材を流用しているらしく、三機しか確認されていない。鳥のような外見をしており、マスディレクタによって在来の航空機とは一線を画す飛行性能を誇る。二機の機兵を空挺装備状態で搭載可能。ミサイルで対地攻撃にも対応している。
 啓示軍の大陸横断奇襲はこの機体の性能に多くを頼っており、連合軍はこの機体の撃墜に力を入れているが、接近すると電子機器がダメージを受けるため攻撃のことごとくが失敗している。
グルーテイル  フリューゲイルから派生した普及型。マスディレクタに代えてダイダロスシステムとスレイプニルジェットエンジンを搭載し、量産化したもの。エンジンにはスレイプニルサーキュレータも併設されており、大型の機体に超音速航行を可能たらしめている。
 マスディレクタがないためフリューゲイルに比べると遜色があるが、このグルーテイルの数が啓示軍の電撃的な機動力を支えている。
その他
トライアムファント級空母  イギリスが開発・建造していた次世代型双胴空母。
 イギリスを占領した啓示軍が建造中のすべての艦を接収し、機兵の運用にも使えるよう設計変更した。
ゼーシュテルン  啓示軍の戦闘/揚陸艇。
 シフゾルダートの下半身とほぼ同一で、マスディフューザを応用して水上でのホバリングを可能としている。


その他

応龍隊/フェアバンテ
影龍 (インロン) 影龍 (インロン)  モスクワ攻防戦以降、ユーラシア大陸各地の戦場で遊撃を行っている謎の機兵。三大勢力すべてとの交戦が確認されており、また、エデンとの連携も記録されているが、真の所属はまったく明らかになっていない。
 外観には啓示軍亜細亜連邦軍両方の機兵と類似性が見られる。神出鬼没で時期によって姿も異なるが、推定される存在数は二機のみ。
 龍王に伍する戦闘能力をもち、腕に装備した電磁射出式の杭は機兵を容易に貫く威力を持つ。
 亜連では応龍事件で行方不明となった試作機とこの所属不明機を同一の機体と見なし、「影龍(インロン)」の名で識別。いっぽう啓示軍では、この機体を「Y(ユプシロン)」と呼ぶ。その真の名と目的が知られて行くのは、まだ先のことである……。
所属不明
鎧蜘蛛/サーバント 鎧蜘蛛/サーバント  暖炉の谷での“ベルリンの壁”発生に前後して出現した、正体不明の機体(?)群。
 体長は二~八メートルていどで、ばらつきがある。
 挙動や、粘性の糸を吐くことなどから、一種の生物ではないかとも類推される。
 周富窪はこれを「鎧蜘蛛」と呼んだが、啓示軍では自律索敵攻撃兵器「サーバント」として運用している。