セレクテッドスツール。
帰還暦526年、混迷するフェニキア大戦役にて。
議会軍TUパイロットであるメイリオ・ウィーンは友軍からはぐれ、
地球府実地監査官のウィタ・フロルス・セクサリスに出会う。
地球府仕様のツィーダ後方支援型に乗るウィタは、
はじめメイリオのイプシロノンに異常な恐怖を示す。
だが、会話によって和解し、
メイリオは成り行きからウィタに同行することとなる。
続く条約軍のバヨネットとの遭遇戦は、
中立のウィタを仲立ちとした奇妙な呉越同舟へと収束する。
バヨネットを操縦していたのは、
ミハマ・ハルマと名乗るパイロットだった。
ウィタの旅路に同行する中で、
メイリオとハルマは互いの文化の溝を少しずつ埋めてゆく。
そして明らかになる、ウィタの身に隠された驚きの事実。
やがて来る戦いは、それがもたらす悲劇は、避けられぬものなのか。
fall between two stools(二兎を追う者一兎をも得ず)、
メイリオは究極の二者択一を迫られようとしていた――。