プライムプロミス。
帰還暦538年(※主要舞台は539年)。
首長国ウワシュを奪還し、
統一国家連合と<真静>の分割統治から脱したケダブール条約機構は、
しかし兵器開発機関「ギルバーグ」の強力な支配下にあった。
ギルバーグは過去に「オーラリ会」との権勢争いに勝利し、
私兵集団「神槍師団」を筆頭とした
揺るがぬ体制を築き上げていたのである。
これに対し、謎多き指導者ハプト・ダプトは
イライザ・リクドゴフらPNG社の協力のもと、
辺境国家カヲクフにて反体制組織「エマバール誓約軍」として武装蜂起。
ギルバーグ率いる条約軍に戦いを挑むのであった。
エマバール誓約軍のズキ部隊やハイロを率いるは、
五大TUを駆る「ペンタ・ブレット」。
「木鐸」モカウ・グラファイア/メズキ。
「火輪」ケビン・ウェズリー/ゴズキ。
「土豪」ガイア・ナイア/テガロ。
「金剛」マグラン・ライマース/ボーネット。
「水鏡」モノツ・ワモノフ/アルガウ。
迎え撃つは、ギルバーグが誇りし天才精鋭集団。
「???」ジョン・ジョンJr./デデング。
「???」ルミナ・ミナ/?。
「???」アリシア・アンバーマン/メッド・トライアル1。
「凶鬼人」テックス・ガヌーン/レグホーン。
「不死者」シェザー・シュリーク/メッド・トライアル2。
そして無数の新鋭TU――メットール、ヘムール、ニニバリオ、ローク。
果たしてこの苛烈な内戦の行方は――?
その野獣には7つの頭があり、そこには10本の角と、
その角それぞれに王冠が冠していた。
そして、その頭には冒涜的な名が刻まれていた。
(ヨハネの黙示録 第13章)
火星と木星の間にあるアステロイドベルトにて、
最後の慣熟テストを行っていたメッドと、
ユニット換装を想定した専用特殊艦「マスターテリオン」。
テストの日程もその1/3がおえた頃、
Xプローンユニットの機動テストを終え、
帰艦したアリシアを待っていたのは、
エマバールの工作員に占拠された艦であった。
そもそも、マスターテリオンを操艦する兵達は、
神槍師団の兵であったはずなのだが、
実はその7割が工作員として、
エマバールから潜入した者達であったのだ。
というのも、これの直前にギルバーグの縮小騒ぎが起こり、
加えてエマバールと数度の激突という事態にみまわれ、
内部調査が充分ではなかった。
しかしそれだけではなく、
この艦を指揮する艦長自体が古くからの、
エマバールの工作員であったことも大きい。
つまり、最初から仕組まれていたのである。
本軍から遠く離れ、秘密裏にテストを
行っているという前提条件の周到なる用意。
そして、最大の脅威となりえるアリシアが
いない時を狙っての、内部からの制圧。
完璧な計画であった。
マスターテリオン占拠から十数時間後、
異変を察知したギルバーグと神槍師団は
最も近いフォボスの駐屯基地に調査、追撃を要請した。
選ばれたのは、同性能のメッド・トライアル2を擁する
シェザー・シュリークが指揮する部隊。
早速隊員を集め、追撃を開始する
シェザー・シュリークであったが、
彼の思惑は別にあった。
人質というかたちで拘束され、
辛酸を舐める思いを覚えるアリシアであったが、
しだいに彼女の心境は複雑化していく。
艦艇という閉鎖空間、人質という立場、
特殊な環境下で生じはじめた奇妙な同調感、
迫るシェザー・シュリークの追撃。
――アリシアは、いったいどう行動するのか?
メッドを強奪しようとする、エマバールの狙いは?
そして、シェザー・シュリークの思惑とは?